電話を使って顧客にアプローチするテレマーケティングは、昔から一般的に行われている営業手法のひとつです。
ポイントを押さえて導入すれば、ほかの営業方法よりも少ないコストで効率的に営業でき、受注率や顧客満足度を高めることが期待できます。
本記事では、テレマーケティングのメリット・デメリットや成功のコツについて詳しく解説します。
テレマーケティングは、電話を使って商品やサービスを販売する営業手法
テレマーケティングとは、電話を使って見込み顧客や潜在顧客に商品やサービスを販売する営業手法です。
メディアを使い、不特定多数の顧客に働きかける「マスマーケティング」に対して、テレマーケティングのように、企業と顧客が直接的にコミュニケーションをとる手法を「ダイレクトマーケティング」と呼びます。テレマーケティングのほかに、訪問営業がダイレクトマーケティングの代表的な例です。
直接対面する訪問営業は、受注の確度が高い顧客とじっくり信頼関係を築く方法としては有効ですが、1日に訪問できる数やエリアには限界があります。したがって、効率の面ではあまりおすすめできません。
その点、テレマーケティングは自社にいながら幅広いエリアの顧客にアプローチでき、移動にかかるコストを抑えつつより高い成果を出すことができます。
なお、テレマーケティングは、大きく「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」の2つに分けられます。
顧客からかかってきた電話で提案を行う「インバウンドマーケティング」
インバウンドマーケティングは、既存顧客、あるいは新規顧客からのお問い合わせや資料請求の電話を受け、商品やサービスを提案するやり方です。「反響営業」や「プル型営業」ともいわれ、商品やサービスの受注業務、電話での問い合わせ・クレーム対応などもインバウンドマーケティングに含まれます。
電話をかけてくる顧客のほとんどは、広告やCMなどを通じて自社に関心を持った企業なので、商談をスムーズに展開して成約につなげることができるでしょう。
ただし、インバウンドマーケティングは、完全に待ちのスタイルなので、電話が来なければ何も始まりません。CMや雑誌、オウンドメディアなどに問い合わせ先を掲載し、顧客を誘導する必要があります。
みずから顧客にアプローチをかける「アウトバウンドマーケティング」
アウトバウンドマーケティングは、企業から顧客に電話をかけてアプローチする手法です。アウトバウンドマーケティングを実施する目的は、大きく3つあります。
<アウトバウンドマーケティングの目的>
・新商品を紹介し、販売につなげる
・利用してもらっているサービスについて状況をヒアリングし、ニーズを収集する
・製品やサービスのリピートの案内をする
なお、アウトバウンドマーケティングでは、手当たり次第に電話をかけるのは非効率なため、自社で作成した顧客リストに沿って電話をかけるのが一般的です。
ただし、インバウンドマーケティングとは違い、相手が自社の製品やサービスに興味・関心を持っているとは限りません。そのため、受注率、成約率を上げるには、電話をかける数を増やして一定の母数を確保する必要があります。
テレマーケティングとテレアポの違い
テレアポとテレマーケティングは、どちらも顧客とのコミュニケーションを電話でとる手法ですが、対象や目的に違いがあります。
テレアポは、取引実績がない新規顧客に対して商談の約束(=アポイント)を取ることが目的です。これまで接点のなかった新規顧客に対して電話をし、アポイント取得後は営業担当に引き継ぐことも珍しくありません。
一方、テレマーケティングは、商品・サービスを紹介して販売につなげたり、顧客の課題やニーズをヒアリングして満足度を高めたりすることが目的で、営業の対象は既存顧客や見込み顧客となります。
テレアポ(電話営業)のコツは以下に詳しく紹介しているので、ぜひお読みください。
営業電話のコツとは?成功率を上げる具体的な方法を解説
テレマーケティングのメリット
企業がテレマーケティングを行うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、テレマーケティングのメリットを3つご紹介します。
営業効率がアップする
非対面で行われるテレマーケティングは、顧客のもとまで足を運ぶ必要がありません。よって、限られた時間とリソースで効率良く活動できるメリットがあります。
対面型の訪問営業の場合、商談時間に対して移動時間が長かったり、当日になってアポイントをキャンセルされたりと、時間と交通費が無駄になるケースが少なくありません。
しかし、物理的な移動を伴わないテレマーケティングなら、顧客の勤務地に関係なく次々と提案できるため、時間を有効に使ってアプローチ数を上げることができます。移動コストや人的コストを削減して対応件数を増やすことができるため、収益率も高くなります。
アポ取りのコツについて詳しく知りたい方はコチラをぜひお読みください。
アポ取りのコツとは?成功率を高めるポイントを解説
顧客満足度アップにつながる
顧客との双方向型のコミュニケーションであるテレマーケティングは、それぞれの悩みやニーズに合わせた柔軟な対応によって、顧客満足度を向上させることができます。
例えば、購入した商品の使用法に疑問があり問い合わせをしてきた顧客は、商品と企業に良い印象を抱いていない可能性があります。しかし、問い合わせに対する対応が親切だったり、丁寧な説明によって疑問がすぐに解消されたりすれば、企業への不満は好感に変わります。
購入した商品やサービスそのものの使い勝手や質に加え、購入・利用に関わるすべての体験の中で顧客が感じる体験価値が重視される今、テレマーケティングは顧客をロイヤルカスタマーに変える可能性を秘めているといえるのです。顧客の意見やクレームを軽く扱わず、真摯に向き合うテレマーケティングによって顧客満足度を高めましょう。
商品やサービスのブラッシュアップにつながる
テレマーケティングで収集した意見やニーズを開発や改良に活かすことで、ブラッシュアップされた商品・サービスを販売することができます。商品・サービスは顧客のニーズを反映しているため、必然的に売上も上がるでしょう。
既存顧客や見込み顧客からの問い合わせやクレームの中には、自社の製品やサービスの改良すべき点や、潜在的な顧客ニーズが隠れています。企業が良いと思うものと、顧客が欲しいと思うものの乖離を埋めるためにも、テレマーケティングの活用がおすすめです。
テレマーケティングのデメリット
メリットの多いテレマーケティングですが、デメリットもあります。テレマーケティングを導入する際には、デメリットもしっかりと確認しておきましょう。
オペレーターの育成にコストがかかる
テレマーケティングを成功させるには、実際に顧客とやりとりするオペレーターが優秀であることが必須条件です。そのため、オペレーターの育成に時間や費用がかかることがデメリットとして挙げられます。
顧客の潜在的な不満やニーズを引き出し、引き出した内容に対する適切な対応によって顧客満足度を上げるには、豊富な商品知識と臨機応変な対応スキルが欠かせません。オペレーターの対応にムラがあると顧客満足度を低下させる原因になるため、全員のレベルを一定以上に引き上げるための教育コストがかかります。
ノウハウ蓄積に時間がかかる
電話口での対応品質を上げるためのノウハウ蓄積に、時間がかかることもデメリットのひとつです。
テレマーケティングには、柔軟な個別対応の技術が必要ですが、「どんな問い合わせが来るのか」「問い合わせにどんな対応をすると顧客が喜んでくれるのか」は、蓋を開けてみなければわかりません。
問い合わせやクレームを頻繁に入れてくる顧客が何を求めているのか、どう対応することによって納得してくれるのかといったことも最初はわからないため、テレマーケティングの開始からしばらくは手探りの対応が増えるでしょう。場合によっては、迅速に対応できずに、顧客を怒らせてしまうこともあるかもしれません。
ノウハウにもとづく安定的で迅速な運用ができるようになるまで、一つひとつのやりとりから得た顧客の情報や問い合わせ履歴、問い合わせの傾向などを地道に蓄積していく必要があります。
企業イメージが悪化するリスクがある
テレマーケティングは、事前にアポイントを取って時間をもらう対面型の商談と違い、約束なしで連絡をする手法です。そのため、顧客によっては不信感を抱く場合もあるでしょう。
例えば、ほかの仕事に追われているときや、外出する直前など、顧客にとって不都合な時間に電話をかけてしまう可能性もゼロではありません。強引なテレアポや詐欺の電話で不愉快な思いをしたことがあれば、突然の電話自体に抵抗感がある人もいます。
このように、テレマーケティングが一部の顧客に不快感を与え、自社のイメージを損なう可能性があることは認識しておくべきです。
テレマーケティングに特別な感情を持っていなくても、スタッフの不慣れな対応で心証を悪くする場合もあるため、十分な教育を行ってから現場を任せるような体制づくりが大切です。
テレマーケティング以外の営業プローチについては以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひお読みください。
営業アプローチの方法とは?うまくいかないときの解決策も紹介
テレマーケティングを成功させるコツ
テレマーケティングを行う際には、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。ここでは、テレマーケティングを成功させるためのポイントを解説します。
テレマーケティングを行う目的を明確にする
テレマーケティングは、行う目的を明確にすることが大切です。目的を決めずに始めると、KPIや目標値を設定できず、PDCAを回すことができません。
現場のオペレーターも、自分の対応の何が良かったのか、何を見直せば良いのかがわからないため、企業が期待しているような成果にはつながりにくいでしょう。
下記のような目的を定めた上で適切な事前準備を行えば、提案内容が充実して成果につながりやすくなります。
<テレマーケティングの主な目的>
・新規顧客を獲得したい
・既存顧客のリピート率を上げたい
・既存顧客の満足度を上げてLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めたい
事前準備を完璧に整える
テレマーケティングを始める前に、設定した目的に沿った事前準備を完璧に整えておきましょう。事前に用意しておくと良いものは、下記の3つです。
・データシート
データシートとは、テレマーケティングで得た顧客情報を書き込むためのシートです。ヒアリングできた内容や、顧客から出た意見、問い合わせの詳細などを余さず書き込んでいくことで、一人ひとりのノウハウが共有財産として蓄積されます。シートの代わりにシステムに情報を登録したり、録音した電話内容をテキスト化したりすることもあります。
・トークスクリプト
トークスクリプトは、顧客との会話を想定した台本です。トークスクリプトがあると、伝えるべき情報の抜け漏れが減ります。オペレーターの技術の標準化にも役立ちます。
・FAQ
FAQとは、顧客の質問を想定した回答集のことを指します。難度の高い質問や、頻繁に聞かれるであろう質問は、あらかじめ想定してFAQにまとめておくと対応がスムーズです。
優秀なオペレーターを育成する
テレマーケティングを成功させるには、オペレーターが優秀であることが重要です。そのため、オペレーターの教育体制を充実させましょう。
顧客と直接やりとりするオペレーターの応対品質は、企業に対する評価に直結します。人によって対応の品質がばらつくと、テレマーケティングの成果に影響が出るばかりか、顧客からの評価が下がる原因になりかねません。
そのため、顧客の話を傾聴する姿勢を持ち、不満や疑問を聞き出す力があるオペレーターを育成することが重要です。また、声の大きさや話す速さ、言葉遣いなどにも細やかな気配りが必要です。
顧客とのやりとりをデータ化する
顧客とのやりとりをデータ化することで、次の提案につなげましょう。たとえ、テレマーケティングの結果が失敗だったとしても、得られた情報は重要な資産です。対応の履歴には、必ず次の成功につながるヒントが隠れています。「ここで別の提案をすれば良かった」「本当に顧客が望んでいたのはこれだったのかもしれない」といった気づきをしっかりデータとして残し、次回はクロージングできるよう備えることが重要です。
商品に対する意見は、今後の商品開発やカスタマーサポートなどで活かせる可能性があります。社内で広く共有するためにもデータとして残すことをおすすめします。
ロボットレターを併用してテレマーケティングの成功率を上げよう
テレマーケティングには、企業の成長につながるさまざまなメリットがある反面、顧客の顔を直接見ながら話ができないこと、自社の商品やサービスの強みをわかりやすく可視化して説明できる営業資料が使えないといった難しさもあります。ベテランのオペレーターであってもトークだけで顧客の信頼を得るのは難しく、組織全体のレベルを均一的に向上させるには時間がかかります。
そこでおすすめなのが、営業担当者の自筆のような温かみのある文字のDMをロボットが代筆するサービス「ロボットレター」です。DMの手書きから発送までをワンストップ、かつ最短5営業日の速さで代行するため、好機を逃さず独自性のあるアプローチが実現できます。これにより、他社と差をつけることができるでしょう。
筆跡のタイプや封筒の種類は用途に合わせて選択できるほか、営業経験豊富な専門スタッフによる文章のアドバイスを受けることも可能です。
手書きのDMを顧客に送って好印象を抱いてもらうことができれば、テレマーケティングに対する心理的なハードルが下がります。テレマーケティングの成功率を高めるために、ぜひ「ロボットレター」の活用をご検討ください。