メールマーケティングとは?実施方法や成果を出すコツを解説

「メールマーケティング」は、メールを介してお客様とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いて集客やコンバージョン獲得につなげるマーケティング手法です。より手軽にコミュニケーションがとれるSNSが普及した今もなお、メールマーケティングは効果的なマーケティング手法として多くの企業で活用されています。

本記事では、メールマーケティングの種類や始め方、成果を出すコツなどについて解説します。

メールマーケティングとは、メールを活用したマーケティング手法のこと

メールマーケティングとは、見込み顧客や既存顧客にメールを配信してコミュニケーションをとり、コンバージョン獲得や集客といった目的の達成を目指すデジタルマーケティング手法です。
メールマーケティングは、何らかの接点を持ったことがある顧客に対して配信するのが特徴で、自社の商品やサービスの購入のほか、顧客との良好な関係の維持、自社サイトへの集客、商品・サービスのファンの育成、ブランディングなどの目的で用いられます。

対象となる顧客の興味・関心に合わせて継続的にメールを送ることで、顧客からの企業や商品、サービスに対する信頼度を高めることができるでしょう。
使い方や機能を深く理解できるメールを配信することによって、商品やサービス、ひいては企業への愛着が深まることも期待できます。

メールマーケティングはメール広告から派生した手法

メールマーケティングの前身となる「メール広告」が登場したのは、1990年代後半のことです。それまで学術関係に限って使われていたインターネットが一般に広く普及したことにより、ビジネスでもプライベートでもメールを使う人が急激に増えた時期に誕生しました。
その後、メール広告は現在も実施されているメールマーケティング手法のひとつである「メールマガジン」へと進化し、1対1のコミュニケーションツールから不特定多数に向けた発信ツールとして多くの企業に利用されるようになりました。

SNSやメッセンジャーアプリが流通した現在、コミュニケーションツールとしてのメールの利用は減っているように見えます。実際、BtoCのビジネスを展開する企業では、顧客のニーズに合わせてコミュニケーションツールを切り替える企業も目立つようになりました。
しかし、BtoBのビジネスシーンにおいては、依然としてメールが最も活用されているコミュニケーションツールであることに変わりはありません。ウェブサイトのような見た目を再現できるHTMLメールが簡単に作成できるようになったり、マーケティングツールが進化して容易に効果測定できるようになったりしたことで、むしろ活用の幅が広がっているといえるでしょう。

なお、2022年にグローバルインフォメーション社が発表した市場調査レポート によれば、メールマーケティングソフトウェアの世界市場規模は、2028年までに22億米ドルに達するといわれています。

メルマガとメールマーケティングの違い

「メールマガジン(メルマガ)」は、メールマーケティングの手法のひとつです。メールマガジンは、対象者全員に同じ内容のメールを一斉送信する手法で、企業側が知ってほしい情報を顧客に知らせることを目的としています。コストが抑えられ、運用も容易であることから、利用している企業は多いでしょう。

メールマーケティングの種類

続いて、メールマーケティングの種類について見ていきましょう。メールマーケティングは、メールマガジンに代表される一斉配信メールと、送付する顧客のセグメントや検討確度に応じて内容を最適化したメールの2パターンに分かれます。ここでは、代表的な5つのメールマーケティングの手法をご紹介します。

定期的に届けたい情報を一斉送信する「メールマガジン」

メールマガジンは、対象となる顧客全員に同じ内容のメールを一斉送信する方法です。自社の商品の告知やキャンペーンの情報、コラムなどを定期的に送るのが一般的です。

個人名や宛名程度の最適化は行われますが、原則として一斉配信で手間がかかりません。よって、メールマーケティングの最初の一歩として活用する企業も多いでしょう。

顧客の状況に応じてメールを配信する「ステップメール」

ステップメールは、顧客の「資料請求」「会員登録」「商品購入」といったアクションに応じて、あらかじめ用意しておいたメールを順番どおりに配信する手法です。

例えば、顧客が企業サイトから資料をダウンロードした際に「サンクスメール」を送り、その2日~1週間後に資料に関連する情報が入ったメールを送付。これを、顧客の行動パターンに合わせて何回か行い、最終的にコンバージョンにつなげます。
ステップメールを活用することで、顧客の状況に合わせたコミュニケーションで相手に対する理解を示すことができ、顧客満足度が高まります。

顧客を属性に分けて必要な情報を配信する「ターゲティングメール」

ターゲティングメールは、住んでいる地域や業種、年齢などの属性をもとに顧客をグループ分けし、グループごとにメール配信をする手法です。

ターゲットを狭めることで、よりニーズに合った内容のメールを送ることができ、開封率やコンバージョン率の向上につながります。

顧客の行動履歴をもとにアクションを促す「リターゲティングメール」

リターゲティングメールは、顧客の過去の行動をもとに最適化したアプローチをする方法で、ターゲティングメールで思うような効果が得られない場合にも有効です。

例えば、ある商品をカートに入れたままサイトから離脱した顧客がいた場合、似たような商品や関連する商品の情報を送ることでアクションを促します。

一定期間反応のない顧客にアクションを促す「休眠発掘メール」

商談は行ったものの、成約せず失注したままになっている顧客を休眠顧客といいます。こうした休眠顧客に対して、アクションを促すのが休眠発掘メールです。

休眠顧客は、一度は自社の商品やサービスに興味を持っているため、適切なフォローをすれば再び関係性を築ける可能性があります。「状況はいかがですか」といった近況を尋ねるメールや、商品・サービスの最新情報、キャンペーン情報などを送り、コンバージョンにつなげましょう。

メールマーケティングの始め方

メールマーケティングは、ビジネスにおいて効果的なマーケティング手法です。では、メールマーケティングを始める場合、どのような手順に沿って進めればいいのでしょうか。ここからは、メールマーケティングに取り組む際の流れを解説します。

1. 成果指標を設定する

まずは、メールマーケティングの目的を明確にし、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定します。メールマーケティングでどのような成果を得たいかなどを、具体的に設定しましょう。

KGIはビジネスの最終目標を評価するための指標で、KPIは目標達成までの中間過程における達成度合いを示す指標です。単にメールを送って終わりにならないよう、定量的な目標を定めてから取り組むことを意識してください。

2. ターゲットを設定する

続いて、メールマーケティングのターゲットを設定します。

メールマーケティングは、パーソナライズされたコミュニケーションで信頼関係を高める手法です。ターゲットとなる相手を明確にし、どんな商品やコンテンツが刺さるのかを十分にイメージしてメールの内容を考えることが重要です。
ターゲットを細かく可視化することで、KGI達成のためのアクションも自ずと見えてくることでしょう。

3. 配信リストを作成する

ターゲットが決まったら、配信リストを作成します。

自社内に顧客情報が散在していると取りこぼしが発生するため、営業担当が交換した名刺、メルマガ会員の情報、ホワイトペーパーのダウンロードで得た情報などを、一元的に管理できるシステムを導入しておくといいでしょう。

4. メールの文面を作成する

配信するターゲットに合わせて、メールの文面を作成します。

メールマーケティングの目的は、メールを読んで行動を起こしてもらうことです。到達率や開封率は重視すべき指標のひとつですが、届いただけ、開いただけでは意味がありません。顧客に期待する行動をとってもらえるようなコンテンツを考えましょう。

5. メールを配信する

メール文を作成したら、配信リストに沿って配信しましょう。

メールを配信する際は、一般的なメールソフトでも配信可能ですが、メール配信ツールを使うと簡単に配信管理ができます。効率面やセキュリティ面を考えると、メール配信ツールを使用するのがおすすめです。

6. 効果測定を行う

メールを配信したら、メール配信ツールやMAツールなどを使って効果測定を行います。

効果測定を怠ると、ターゲットの設定やメールの文面の成否がわからず、効果がはっきりしない施策を打ち続けることになりかねません。必ず効果測定を行って、次の配信に活かしましょう。

7. 内容を修正して再配信する

効果測定の結果を反映させ、メールを再配信します。再配信後も引き続き効果測定を行い、改善を繰り返すことで、より効果の高いメールマーケティングを行うことができるでしょう。

メールマーケティングで成果を出すためのコツ

メールマーケティングは、始めやすく、効果を出しやすいマーケティング手法です。より成果を上げるために、下記の5つのコツを意識して取り組むことをおすすめします。

長期的な計画を立てて運用する

メールマーケティングを行う際に、先々の計画を立てずにスタートすると、途中で配信するコンテンツがなくなり、継続性に欠ける施策になってしまいます。そのため、長期的な計画を立てて運用することを意識して始める必要があります。
年単位で戦略を設計し、イベントなどに応じて原稿のネタを仕込んでおきましょう。

顧客の興味を引くコンテンツを作成・配信する

メールマーケティングの強みは、配信先に応じてパーソナライズできる点です。

自分の趣味嗜好に応じてパーソナライズされたメールは、全体向けの当たり障りのないメールよりも受け手の心に響くことが、往々にしてあります。配信する総数よりも、配信によってアクションにつながる数に目を向け、興味を引くコンテンツを作成しましょう。
ターゲットからコンテンツを考えるだけでなく、目的に合わせて考えたコンテンツから配信対象を絞り込むのもおすすめです。

メールの配信時間を工夫する

メールを読んでもらう上で、意外と重要なのが配信時間です。

例えば、30~40代の働く男性がターゲットの場合、平日の昼間は仕事でプライベートなメールを確認していない可能性が高いでしょう。平日の夕方以降、または週末にメールを送付することで、メールに目を通してもらえることに期待できます。

定期的に効果測定を行う

メールマーケティングは、定期的に効果測定をして適切なテコ入れをすることで成果を高めることができます。本文の内容や件名、配信時間などについて、2つの仮説を立てて検証するA/Bテストなどを行いながら、コンテンツをブラッシュアップしていきましょう。

配信本数を目標値にすることで、メールを送ること自体が目的にならないよう注意してください。

メール配信に適したツールを使う

メールマーケティングに適したツールを使うことで、より効率的にマーケティング業務を行うことができます。

ごく少数のターゲットに対してメールマーケティングを実施する場合を除いて、手動での配信では時間とコストがかかり、費用対効果が低くなります。自社のメールマーケティングの目的に合ったツールの導入をおすすめします。

メールマーケティングを行う上でおすすめのツール

では、メールマーケティングに適したツールとは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。メールマーケティングにおすすめのツールには、大きく分けて「メール配信ツール」と「MAツール」があります。

メール配信ツール

メール配信ツールとは、メールの配信に特化したツールをいいます。メールの作成から配信、解析まで一貫して行えるメール配信ツールを導入するといいでしょう。導入を検討する際は、ツールによって搭載機能が異なるため、メールマーケティングの目的に合ったものを選ぶことを意識してください。

メール配信ツールを使えば、顧客をグルーピングしてメール内容をカスタマイズしたり、開封率やクリック率をグラフ化したりと業務の効率化が実現できます。また、HTMLメールの作成も簡単にできるため、コンテンツの効果をより高めたいときにも重宝します。

MAツール

MAツールは、マーケティング施策の自動化や、施策の効果測定ができるツールです。メール配信ツールと同様の機能を備えているものも多くあります。
MAツールは、メール配信ツールよりも詳細な顧客情報と連動できるため、顧客にフィットするメールが送りやすく、施策の精度が上がります。

メールマーケティングだけでなく、ほかのマーケティング業務も併せて効率化したい場合は、MAツールを導入するのがおすすめです。

メールマーケティングのメリット

ここまで、メールマーケティングの始め方やコツを紹介してきました。では、メールマーケティングを導入することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを3つご紹介します。

費用対効果が高い

メールマーケティングの最大のメリットは、コストを抑えて手軽に始められ、費用対効果が高いことです。

ウェブ広告やリスティング広告に取り組む場合、掲載する媒体に支払う広告費がかかります。展示会やセミナーといったオフラインのマーケティングも、会場費や講師の講演料、集客のための広告費、機材のレンタル費などがかかるため、限られた予算でマーケティングを行いたい企業には負担が大きいでしょう。

メールマーケティングの場合、必要なのは配信システムと効果検証のためのツール程度で、初期費用・ランニングコストともに抑えることができます。さらに、1回の配信で多くの人にアプローチできるため、正確な設計さえできていれば、高い費用対効果が見込めます。

効果測定が簡単にできる

メールマーケティングは、簡単に効果測定が行えることもメリットのひとつです。

マーケティングでは、成果に結び付いた理由を明確にして再現することが大切です。メールマーケティングは、メール配信ツールやMAツールを使うことでメールの開封率、クリック率、コンバージョン率といった顧客のリアクションをデータで細かく把握することができます。
取得したデータをもとにPDCAを回せば、効果的な施策の精度をさらに高めたり、いまひとつ効果が出ていない施策にテコ入れしたりと、効率的な改善によってさらに高い効果を出すことが可能です。

顧客に合わせて施策の内容や頻度を変えられる

メールマーケティングは、相手の属性に応じて配信する内容や配信頻度などを設定できるため、ほかのデジタルマーケティング施策に比べて、特別感や限定感を出すのに向いています。

女性向け新商品のお知らせを女性顧客だけに送る、リピーターだけにクーポンを送るといったように、セグメントによってコンテンツをカスタマイズすることで、費用対効果をさらに上げることができるでしょう。

メールマーケティングのデメリット

メールマーケティングはメリットの多い手法ですが、実施する前に知っておきたいデメリットも存在します。ここでは、3つのデメリットを紹介します。

短期間では効果が出にくい

メールマーケティングは、顧客の検討確度や熱量に応じてメールの内容を調整し、信頼関係を築くことによって成り立つマーケティング手法です。

メールのターゲットや対象、送付するタイミング、頻度などを細かく設計し、段階的にコミュニケーションを重ねていく必要があるため、一足飛びに効果を出すのは困難です。中長期的な取り組みが前提の手法であり、短期的に効果を出したい場合には向いていません。

ユーザーの興味を引くメール内容を考えるのに時間がかかる

メールマーケティングを実施するには、顧客にとって有用なコンテンツを考えるためのリソースと時間が必要です。ユーザーにとって有益で、読みたいと思うコンテンツを発信し続けなければ顧客は離れてしまいます。

メールマーケティングは手軽に始められそうに見えますが、継続するためにはしっかりと計画を立てた上で始めることを意識してください。

顧客調査に手間がかかる

顧客の興味関心や時代のトレンドは、日々移り変わっていくものです。

メールマーケティングは対象者に「読んでもらう」ことが大前提なため、顧客や時代の変化に気を配る必要があります。顧客の趣味嗜好や、顧客周辺のトレンドを読み間違えると、理想的なリアクションを得ることができません。
顧客調査には手間と時間がかかるため、社内のリソースをよく検討してから取り組みを始めることが大切です。

顧客との関係性構築には「ロボットレター」をご活用ください

メールマーケティングは、ビジネスシーンにおいて効果の高いマーケティング手法です。メールマーケティングを行う際は、顧客の特性に合ったコンテンツを作成・配信し、信頼関係を構築してコンバージョンにつなげましょう。

顧客との関係づくりには、手書きの手紙をロボットがペン字で代筆する「ロボットレター」もおすすめです。最短5営業日で手書きの風合いのDMを発送することができるので、マーケティング施策の一環としてご利用ください。
また、ご希望に応じて専門スタッフによる文章のアドバイスも行っているため、ターゲットに対して効果的な文章か不安な方はご相談ください。